福祉住環境コーディネーターとは?
福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者に適した住環境を提案するアドバイザーです。医療、福祉、建築の知識を持ち、各専門職と連携しながら、個々のニーズに合わせた住宅改修や福祉用具のアドバイスを行います。日本は急速な高齢化が進んでおり、この分野の専門家へのニーズが高まっています。
試験について
福祉住環境コーディネーター試験は、2級と3級が年に2回、1級が年に1回実施されています。この試験は東京商工会議所が主催し、年の前半を「第1シーズン」、後半を「第2シーズン」と呼びます。
- 第1シーズン:2級と3級の試験のみ
- 第2シーズン:1級、2級、3級のすべての試験
1級は年1回の開催で、第2シーズンの奇数回に行われます。例えば、2022年は第49回で1級試験がありましたが、2023年は第51回で実施されています。偶数回(例:第48回、第50回)は2級と3級のみです。
1級試験の当日の日程として、多肢選択式の前半試験は10:30-12:00(90分)、記述式の後半試験は13:30-15:00(90分)となります。後半の記述式もパソコンを使いますので、手書きをするのは設計提案の作図のみです。
試験の方法
福祉住環境コーディネーター試験は、以前は紙で行われていましたが、現在は2つの方式があります。
- IBT:インターネット経由で自宅などから受験
- CBT:テストセンターでコンピュータを使って受験
1級試験はCBT方式で、毎年12月頃の日曜日に指定の会場で行われます。試験はパソコンで回答し、前半(午前中)は多肢選択式で完全にパソコンで回答しますが、後半(午後)の記述式は一部を紙で回答します。
合格率について
福祉住環境コーディネーター試験の合格率は、2023年の1級で14.5%(受験者272人中34人合格)と低く、難易度が高いことが分かります。また、受験者数自体が少ないため、特に1級は難関資格といえます。
一方で、2級は2023年度の合計で38.1%(受験者15,469人中5,471人合格)と、比較的多くの人が合格しており、決して不人気資格ではありません。ただ、1級の受験者数が少ない点からも、その難易度が伺えます。
1級試験の詳細
試験は前半と後半に分かれており、それぞれ90分ずつです。
前半は「多肢選択式」ですが、穴埋めや○×形式の問題も含まれています。2022年からは、試験会場のPCを使ったCBT方式が導入されており、問題が1問ずつ表示され、順番に解答していく形式になっています。これにより、問題用紙は配布されず、試験は何も持たずに入室し、何も持たずに退室します。もちろん、メモなども取れませんので、試験後に問題や自分の解答を確認して自己採点することはできません。
ただし、出題された問題は、後日、東京商工会議所の検定サイトに掲載され、誰でも閲覧することができます。2023年の試験問題はコチラ。ページの真ん中よりちょっと上あたりに試験問題があります。
問題の傾向
Amazonなどで調べてみると分かるのですが、福祉住環境コーディネーター1級の過去問解説書や参考書は非常に少なく、実質的に「福祉住環境コーディネーター1級 過去&模擬問題集」(NPO法人 福祉・住環境人材開発センター)の1冊に頼る形となっています。ちなみに、この本はプレミア価格になっています。
しかもちょっと困った事に、最新の改訂版は2020年の「改訂7版」で、それ以降の新しい版は出ていないようです。
そして、過去問の焼き直し以外に、毎年新出問題が多数あり、情報が少ない上に、対策を立てにくいのが1級の特徴です。
前半の問題構成
2023年の前半試験は、全部で68問がありましたが、通し番号にはなっておらず、以下のような階層構造になっています。
- 第1問~第10問(第3問と第7問を除く): 各問題に「ア~エ」の4つの小問が含まれています。
- 第3問と第7問: それぞれの問題に「3-1」「3-2」「3-3」、「7-1」「7-2」「7-3」といった中分類があり、その下に「ア~エ」の4つの小問が含まれています。
- 第11問: この問題だけは特別に「ア~シ」の12問で構成されています。
このような問題構成となっており、合計で68問になります。
公式テキストの章立てが11あるので、試験も第11問まであるのかとも考えられますが、出題内容から判断すると、必ずしもこれに対応している訳ではなさそうです。
個人的な感想として、出題構成の分かりにくさと、問題数の多さが試験の難易度を上げている気がします。
後半の問題構成
2023年の後半試験は、第1問~第4問で、全部で11問でした。構成は、
第1問-設問(1)、第1問-設問(2)、第1問-設問(3)、
第2問-設問(1)-1、第2問-設問(1)-2、第2問-設問(1)-3、第2問-設問(2)
第3問-設問(1)、第3問-設問(2)、第3問-設問(3)、第3問-設問(4)
第4問
ちなみに2022年の後半試験の問題数は10問でした。構成は、
第1問
第2問
第3問-設問(1)、第3問-設問(2)、第3問-設問(3)
第4問-設問(1)、第4問-設問(2)
第5問-設問(1)、第5問-設問(2)、第5問-設問(3)
このようになっております。
もともと情報が少ない上に、出題構成が年ごとに変わるため、受験者にとって非常にわかりにくい試験になっています。このような複雑さが、試験の難易度をさらに上げているといえるでしょう。
後半の試験は記述式ですが、PCで受けるため、手書きの文字の汚さや誤字の影響が少なくなっています。
合格基準
合格するためには、試験の前半と後半の両方とも正答率が70%以上である必要があります。どちらか一方でも70%を下回ると、不合格になります。
他の試験のような科目ごとの合格制度はないので、1回の受験で前・後半ともに基準を満たすことが求められます。
受験者数や合格率がこれほど低い試験なので、せめて科目合格制を導入し、不合格だった科目だけを翌年にチャレンジ出来るようにしてもらいたいものです。