福祉住環境コーディネーター1級 2022年【前半】試験_第1~3問

2022年

2022年の試験問題はコチラ。「禁無断転載」とありますので、問題文は載せられませんが、試験の解答と解説を行っていきます。

※この解説は、個人が作成したものであり、公式のものではありません。そのため、内容に誤りが含まれている場合があります。もし間違いを見つけた場合は、「お問い合わせ」フォームからご連絡ください。

第1問

設問(1)-正答:②

(a)記述通り

(b)誤り:公式テキスト第1章、第3節に記載の通り、「不足している資源に関しては、新たな開発に尽力すること」が求められます。頻出問題です。

(c)記述通り

(d)誤り:「福祉住環境コーディネーター」は試験の合格者だけが名乗れる名称ではありますが、いわゆる法律で定められた名称独占資格ではありません。頻出問題です。

(a)〇、(b)×、(c)〇、(d)×で、②の組合せが正解となります。

設問(2)-正答:①

誤り:正しくは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030 Agenda for Sustainable Development)」です。SDGsは2030年を目標年として掲げられたものであり、「2050アジェンダ」ではありません。
【参考】国際連合広報センター https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

②③④記述通り

設問(3)-正答:④

①②③記述通り

誤り:2018年の社会福祉法の改正では、市町村や都道府県が作成する「地域福祉計画」や「地域福祉支援計画」について、計画を作ることが任意から努力義務に変更されました。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-01-b02.pdf

設問(4)-正答:②

誤り:記述にある通り、デイサービスは基本的に要介護者を対象とした「サービス提供の場」ですが、ふれあい・いきいきサロンは、地域の高齢者が自由に集まり、交流できる場所であり、その目的は高齢者の社会的なつながりを促進することです。必ずしも「専門スタッフによる場や設備の提供」が特徴ではなく、むしろ地域住民やボランティアが主体となって運営することが多く、参加型・交流型の場としての性質を持っています。

記述通り
【参考】社会福祉法人 全国社会福祉協議会 https://www.shakyo.or.jp/recruit/about/index.html

誤り:「社会福祉法」における社会福祉施設には、入所型施設(特別養護老人ホーム、児童養護施設など)だけでなく、通所型施設(デイサービスセンターなど)や利用型施設(老人福祉センター、点字図書館など)も含まれます。このため、通所型施設や利用型施設が含まれないという記述は誤りです。

誤り:日本赤十字社は共同募金とは別の組織であり、赤十字社が共同募金の資金を管理したり配分したりすることはありません
実際には、募金で集められた資金は、地域の社会福祉協議会や福祉団体、NPOなどの団体に配分され、地域福祉の推進に利用されます。つまり、集められた募金は各地域での必要に応じて計画的に使われ、さまざまな地域福祉活動や福祉施設の支援に充てられます。
【参考】日本赤十字社 https://www.jrc.or.jp/
【参考】赤い羽根共同募金 https://www.akaihane.or.jp/

第2問

設問(1)-正答:①

(a)記述通り

(b)誤り成年後見人は、本人の財産管理や重要な契約などの法律行為について、本人の代理として行う権限を持っています。また、成年後見人は本人の判断能力が大幅に低下している場合、本人の同意が不要で、必要な法律行為を代理することができます。
しかし、「日常生活に関する行為」まで代理権を行使できるわけではありません。

(c)記述通り
【参考】法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/kobe/content/001354478.pdf

(d)誤り?:記述通りのような気もしますが、そうすると選択肢がなくなってしまいます。
強いて言えば、「支援したり代行したり」という表現が、「法律行為」にかかっているのであれば、「法律行為の代理」に相当してしまうため、誤りと言えます。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10-2/kousei-data/PDF/22010810.pdf

(a)〇、(b)×、(c)〇、(d)×で、①の組合せが正解となります。

設問(2)-正答:①

記述通り

誤り:「個人情報保護法」では、あらかじめ目的が公表・通知されていない場合に個人情報を利用することは原則としてできませんが、人の生命や身体、財産を保護するための緊急事態(たとえば、事故の際に救急隊員に血液型や病歴を教える場合など)に関しては、本人の同意がなくても個人情報を提供することが可能です。この規定により、生命や安全に関わる場面での適切な対応が可能です。

誤り「個人情報保護法」よりも虐待防止の法律が優先されます。たとえば、「児童虐待防止法」や「高齢者虐待防止法」では、虐待が疑われる場合に必要な通報が義務化されており、個人情報保護法違反の懸念よりも、被害者の保護が優先されるべきとされています。このため、個人情報保護法が理由で虐待通報がためらわれるべきではなく、通報が社会的な義務として求められています。

誤り個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者に対して適用されます。ここでの「事業者」には、法人や営利団体だけでなく、一定の基準を超える個人情報を取り扱うボランティア団体や地域住民組織も含まれます。これにより、ボランティア団体や地域住民組織も個人情報を取り扱う場合は、適切な管理と取り扱いが求められます。
もちろん、社会福祉士および介護福祉士にも守秘義務が課せられています

設問(3)-正答:①

誤り:日本の高齢者の身体機能に関しては、近年の研究により改善傾向維持が見られることも報告されています。高齢者の健康状態や生活機能に関する多くの調査では、医療や介護の進展、健康に対する意識の向上などにより、身体機能の低下が必ずしも一貫して進行しているわけではなく、むしろ向上している側面もあります。
【参考】国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター https://www.ncgg.go.jp/

②③④記述通り

設問(4)-正答:?

(a)記述通り
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/bukyoku/rouken/01.html

(b)記述通り
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/001245241.pdf

(c)記述通り

(d)記述通り

何とも解釈が難しい問題で、正誤の判断が出来ません。スミマセン…
なお、介護保険法は平成12年4月の施行以降、3年を一区切りに「第〇期」として、改正が行われてきました。改正にあたっての主な視点は以下の通りです。

平成12年度(2000年度):介護保険制度の創設

予防給付の導入
目的:要介護状態にならないよう、健康時から日常生活での健康管理・健康づくりを進める。
対象:いわゆる虚弱老人(要支援者)。
内容:寝たきり予防の観点から、必要なサービスを提供。

平成17年度(2005年度):介護保険法改正

予防給付の見直し
・軽度者(要支援者)の状態に応じた支援の充実。

地域支援事業の創設
介護予防事業介護予防ケアマネジメントを新たに位置づけ。
・自立支援を徹底し、介護予防を重視するシステムを構築。

平成19年度(2007年度)

特定高齢者施策の見直し
・要支援、要介護状態になるおそれの高い者(特定高齢者)をより多く把握できるよう、決定方法を見直し。

平成22年度(2010年度)

介護予防事業の充実
・ハイリスク者の把握方法の改善。
・高齢者のニーズに合った魅力的なプログラムを充実。

平成26年度(2014年度):介護保険法改正

地域支援事業の再編
一次予防事業二次予防事業を再編。
・一般介護予防事業を創設(住民主体の「通いの場」を中心とした取組)。
機能強化
・人と人とのつながりを通じて地域づくりを推進。
・リハビリテーション専門職の関与促進。
基本チェックリストの活用変更
・二次予防事業対象者の把握だけでなく、認定不要で必要なサービスを受けるツールとして活用。

平成29年度(2017年度):介護保険法改正

都道府県の役割明確化
・市町村の実施する一般介護予防事業等を、都道府県が支援。

令和2年度(2020年度):最近の動向

介護予防と保健事業の一体化
・「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が施行。
・介護予防を保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金の枠組みで抜本的に強化。

【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf

第3問

設問(1)-正答:(a)②(b)⑥(c)⑩(d)⑯

(a)【ア】②災害対策基本法
「災害対策基本法」では、要配慮者のうち自力で避難が困難な人を「避難行動要支援者」と定義しており、行政や地域社会の防災対策における基本的な枠組みを規定しています。

(b)【イ】⑥自主防災組織
地域の防災活動を担う組織として「自主防災組織」が該当します。自治会や町内会が主体となり、日常的な防災訓練や災害時の避難誘導などを行います。

(c)【ウ】⑩指定避難所
「指定避難所」は、災害時に住民が避難して一定期間滞在できる施設を指します。被災者が安全を確保し、災害が収束するまで利用される場所として、市町村が指定します。

(d)【エ】⑯スフィア基準
「スフィア基準」は、国際的な災害・紛争時の人道支援における最低基準を示したもので、避難所や被災者支援の環境改善に関する指針として活用されます。内閣府も「国際基準」として参考にすることを推奨しています。

設問(2)-正答:(a)③(b)④(c)①(d)③

(a)【ア】③児童福祉法
民生委員が児童委員を兼任することは「児童福祉法」に規定されています。この法律に基づき、主任児童委員が配置される仕組みがあります。

(b)【イ】④10人以上
特定非営利活動法人(NPO法人)の設立には、「10人以上の社員」が必要です。これに加え、理事3人以上、監事1人以上、年1回以上の総会開催などが要件となります。

(c)【ウ】①消費生活の向上
生活協同組合(生協)は「消費生活の向上」を使命として活動しています。消費者の生活を向上させるため、一定の地域や職域単位で結成される組織です。

(d)【エ】③CSR
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)は、企業が社会の一員としての役割を果たし、利害関係者(ステークホルダー)への説明責任を果たす活動を含む概念です。純粋な非営利活動ではなく、経済活動の一環として行われます。

設問(3)-正答:(a)①(b)④(c)①(d)③

(a)【ア】①ホーソン効果
理由:ホーソン効果とは、被験者が観察されていることを意識することで行動や結果に変化が生じる現象です。介護予防に参加している対象者が「良い結果を出そう」と心がける影響を指しています。

(b)【イ】④疲労
Friedらの定義(CHS基準)では、
 1. 体重減少
 2. 疲労感
 3. 活動量低下
 4. 緩慢さ(歩行速度低下)
 5. 虚弱(握力低下)
この定義に基づき、3つ以上の症状がある場合にフレイルと判定されます。

(c)【ウ】①ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドロームは、加齢に伴う運動器(骨や関節、筋肉)の障害により、移動能力が低下し、自立度が低下する状態を指します。これにより要支援・要介護になるリスクが高まります。

(d)【エ】③MCI
MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)は、認知症ではないが認知機能が低下している状態を指します。この段階で適切な介入を行うことで、認知症の進行を防ぐ可能性があるとされています。