福祉住環境コーディネーター1級 2022年【後半】試験

2022年

2022年の試験問題はコチラ。「禁無断転載」とありますので、問題文は載せられませんが、試験の解答と解説を行っていきます。

※この解説は、個人が作成したものであり、公式のものではありません。そのため、内容に誤りが含まれている場合があります。もし間違いを見つけた場合は、「お問い合わせ」フォームからご連絡ください。

第1問

解答例(153文字):
「介護保険制度におけるケアマネジメントの役割は、要介護者が必要な介護サービスを受けられるよう、ケアプランを作成し、サービス提供者や家族と連携することです。ソーシャルサポートネットワークの視点では、要介護者を中心に地域や家族、医療・介護機関をつなぎ、支援体制を整えることで、自立した生活を支えることが重要です。」

ポイント:解答を構成する際の考え方を以下に示します。
①ケアマネジメントの基本的な役割
ケアマネジメントの目的は、要介護者が適切な介護サービスを受けられるよう、個別の状況に応じたケアプランを作成し、サービスの調整や管理を行うことです。
②ソーシャルサポートネットワークの視点
ソーシャルサポートネットワークの視点では、ケアマネジャーが要介護者を中心に、家族や地域住民、医療・介護サービス事業者を結びつけることで、包括的な支援体制を構築する役割が重要です。
③自立支援の促進
ケアマネジメントは、単なるサービス提供にとどまらず、利用者の生活能力や生活の質(QOL)を向上させるために、自立支援を目指したケアプランを策定することを重視します。
④具体的な調整の内容
ケアマネジャーの業務には、要介護者や家族の状況を把握し、適切なサービス提供者を選定し、利用状況を確認して必要に応じてプランを見直すなど、サービスの調整役としての役割が含まれます。

第2問

解答例
①都心型高齢者住宅、近接施設配置、安心住空間創出プロジェクト
②いきいきサロン、老人クラブ、地域包括支援センターの活用
③緊急通報・ライフライン検知システム、住民相互ネットワーク、情報共有ネットワーク


ポイント:「第1回高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」について、厚生労働省の資料は見つかりましたが、国土交通省の一次情報は確認できなかったため、解答例が正確ではない可能性があります。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/h0328-8.html
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/dl/h0328-8a.pdf

第3問

設問(1)

解答例(①32文字 ②33文字):
①利用者数が増加しており、施設やサービスの受け入れ体制が課題となる
②重区分の利用者割合が増加傾向にあり、支援の質と量の確保が課題となる

ポイント:図1から①、図2から②のような解答が出来れば得点になると考えられます。普通に国語の問題みたいな感じですね…。
ちなみに、障害者の支援区分は、障害者総合支援法に基づき、障害者一人ひとりが必要とする支援の程度を判断するための指標で1~6の6段階に分かれています。
 ・区分1: 比較的軽度の支援が必要
 ・区分6: 最も重度の支援が必要
区分が高くなるほど、生活のあらゆる場面で介助が必要になることを示します。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/001340409.pdf
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797837.pdf

設問(2)

解答例(106文字):
「医学モデルは障害を個人の身体的問題として捉え、診断や治療を重視する。一方、生活(社会)モデルは障害を社会や環境の制約として捉え、バリアフリー化や社会的支援を通じて障害者の自立と社会参加を促進することを目的とする。」

ポイント医学モデルは、障害を「個人の身体的問題」と捉える考え方です。このため、医療的な診断、治療、リハビリなどの個人への介入を重視します。生活(社会)モデルは、障害を「社会や環境による制約」と捉える考え方です。環境改善(バリアフリー化)や社会的支援によって、障害者の自立や社会参加を目指します。

設問(3)

解答例(30文字):
「住宅確保要配慮者の住まいに関する支援や課題解決を目的とする。」

ポイント
【参考】国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr3_000019.html

第4問

設問(1)

解答例
-1
①問題箇所: 店舗出入口までのスロープ
②利用者像: 車椅子利用者
③問題点と改善点: 1/5の急勾配となっているため、勾配を1/12以下とする

-2
①問題箇所: 店舗出入口のドア
②利用者像: 杖利用者、車椅子利用者
③問題点と改善点: 手動開閉で扱いにくいため、両引きの自動ドアとする

-3
①問題箇所: トイレ
②利用者像: 車椅子利用者
③問題点と改善点: 手摺などが無く、空間も狭いため、手洗スペースと合わせて多目的トイレとする

-4
①問題箇所: レジカウンターの高さ
②利用者像: 高齢者、車椅子利用者
③問題点と改善点: カウンターがH=850mmと高いため、一部をH=700~750mmとする

ポイント:その他の解答として
 ・車椅子使用者用駐車スペース(W=3,500mm以上)
 ・店舗内通路(有効W=1,200mm以上)
 ・イートインスペースのカウンター(H=700~750mm)
 ・前面道路から店舗出入口までの通路(視覚障害者誘導用ブロックの設置)
 ・店舗出入口の階段(蹴上高さ=160mm以下)
などが考えられます。
【参考】国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001391551.pdf

設問(2)

解答例
具体的な就業者像: 聴覚障害を持つスタッフ
課題点と改善策: 業務中の指示や情報伝達が困難であるため、スタッフ間の連絡用にタブレット端末を導入し、文章や画像で情報を伝達する

ポイント:その他の解答として
具体的な就業者像: 知的障害を持つスタッフ
課題点と改善策: 作業手順を覚えるのに時間がかかるため、作業手順を簡潔にまとめたピクトグラムや写真付きマニュアルを導入する

具体的な就業者像: 肢体不自由などの身体障害を持つスタッフ
課題点と改善策: 重い荷物を運ぶ作業が難しいため、軽量化された道具や電動キャリーなどの補助具を導入する

具体的な就業者像: 視覚障害を持つスタッフ
課題点と改善策: 店内移動時に障害物にぶつかる危険ため、店内を整理整頓し、移動経路をシンプルにする
などが考えられます。

第5問

設問(1)

解答例

ポイント:内部と外部の両方に手すりを設置することが重要です。本来は手すりが動線に沿って連続していることが理想的ですが、この設問では物理的にそれが難しい状況です。そのため、どのように対応するかを工夫することがポイントになると考えられます。
手すりの太さは一般的に32mmや35mmが使われます。高さは750~850mmが標準ですが、Fさんと奥さんの身長を考慮して、低めの750mmが適しているでしょう。踏台については、玄関の幅いっぱい(幅1,300mm)の敷台のような形でも問題ありません。

設問(2)

解答例

ポイント:設問(1)の解答と整合性を持たせて作図しましょう。特に要求はありませんが、手すりの設置高さなどを記載しておくと、採点者に良い印象を与えます。

設問(3)

解答例

ポイント:段差解消機とウッドデッキを直線的に配置するシンプルなプランで構いません。ウッドデッキにはハッチングを使ってそれらしく表現し、高さ設定の根拠や脱輪防止の「立上り」といった配慮を図面に反映できれば十分だと思われます。
解答例の中の※要施主確認※は、不要のような気もしますが、書いても減点にはならないと思います。