「1級施工管理技士」の世界へようこそ!

資格関連

はじめに:

建設業界において、「1級施工管理技士」の役割は極めて重要です。この資格は、建設業法に基づく国家資格であり、建設工事の施工管理に関する技術と知識を有する者を認定する資格です。単に技術的な能力を証明するものではなく、建築プロジェクト全体の効率的かつ効果的な管理を担うプロフェッショナルを指します。

例えば、下請契約の請負代金総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の建設工事において「監理技術者」が必要となりますが、1級施工管理技士は、監理技術者の資格要件の1つであり、1級施工管理技士の資格を有する者は、主任技術者又は監理技術者として従事することができます。

資格試験:

建設業には、建設業法上の区分で29の職種がありますが、それぞれに対応した施工管理技士試験があるわけではありません。
例えば「1級建築施工管理技士」であれば、業法上の「建築」「大工」「左官」「とび・土工」「石工事」「屋根工事」など、17職種について、監理技術者となる事が出来ますが、「土木」や「舗装工事」の監理技術者にはなれません。
「土木」や「舗装工事」の監理技術者になるには、「1級土木施工管理技士」あるいは「1級建設機械施工管理技士」が必要になります。

試験の種類:

では、この「〇〇施工管理技士」試験の○○はいくつあるのでしょうか?
答えは以下の7つです。そして、業種の違いから、試験の管轄機関も異なります。(→が管轄機関)
ちょっと、複雑ですね・・・。
ちなみに29業種の内、「機械器具設置工事」「さく井工事」「消防施設工事」「清掃施設工事」の4職種については、施工管理技士の試験では、監理技術者になる事は出来ません。

建築(建築施工管理技士)
電気(電気工事施工管理技士)
 一般財団法人建設業振興基金

土木(土木施工管理技士)
管工事(管工事施工管理技士)
電気通信(電気通信工事施工管理技士)
造園(造園施工管理技士)
 → 一般財団法人全国建設研修センター

建設機械(建設機械施工管理技士)
 → 一般社団法人日本建設機械施工協会

試験の構成:


施工管理技士の資格試験には1級と2級があり、それぞれが一次試験と二次試験で構成されています。以下に、各級の試験内容と特徴を詳しく説明します。

1級施工管理技士試験:

  • 一次試験: 択一式(四肢一択、五肢二択)の筆記試験が主です。建築、土木、電気、管工事など、専門分野に応じた試験科目が設けられています。この試験は、関連する法規、基本的な技術知識、工事管理に必要な一般知識を問います。
  • 二次試験: 択一式および記述式の試験で、より高度な専門知識と実務経験が求められます。具体的な工事管理技術や問題解決能力が重視され、実際の現場で遭遇するような状況を想定した問題が出題されます。

2級施工管理技士試験:

  • 一次試験: こちらも択一式の筆記試験ですが、1級に比べて基本的な内容に重点を置いています。法規、技術基準、施工管理の基本知識など、実務に必要な一般的な知識を問う設計になっています。
  • 二次試験: 2級の二次試験では、択一式および記述式の試験が行われますが、1級に比べて実務の基本的な部分に焦点が当てられます。実際の現場で直面する可能性のある基本的な問題への理解と解決策を示すことが求められます。

両級とも、一次試験に合格した後に二次試験を受験することができます。ちなみに難易度は、1級で“中の上(資格偏差値60前後)”と言われています。

受験要件:

建築施工管理技士の資格試験、1級および2級は、それぞれ「第一次検定」と「第二次検定」の2段階に分かれています。

令和6年度の新たな受験資格の改正により、第一次検定の受験資格が変更されました。2級の場合は17歳以上、1級の場合は19歳以上であれば、実務経験の有無にかかわらず受験することが可能となっています。これまでは、実務経験が受験資格の一部として必要でしたが、新制度では年齢制限のみが適用されます。

第二次検定の受験資格に関しては、2級では第一次検定に合格してから3年間、1級では第一次検定に合格してから最短1年間の実務経験を積んだ後に受験が可能です。

詳しくは国土交通省の案内をご確認下さい。

キャリアパス:

一級施工管理技士のキャリアパスは、建設業界における専門職としての高い地位を象徴しています。この資格を持つことで、大規模な建築や土木プロジェクトの監理技術者や主任技術者として活躍でき、プロジェクトの成功を司る責任と権限を担います。

キャリアの進展とともに、プロジェクトマネージャーや建設コンサルタントとしての道も開け、業界内でのリーダーシップと影響力を拡大することが可能です。資格取得後は、継続的な教育と実務経験を通じてスキルを磨き、専門性を高めることが求められます。