福祉住環境コーディネーター1級 2023年【前半】試験_第5問

2023年

2023年の試験問題はコチラ。「禁無断転載」とありますので、問題文は載せられませんが、試験の解答と解説を行っていきます。

※この解説は、個人が作成したものであり、公式のものではありません。そのため、内容に誤りが含まれている場合があります。もし間違いを見つけた場合は、「お問い合わせ」フォームからご連絡ください。

第5問

ア-正答:②

誤り:サービスの利用可否は障害種別(種別1~6)ではなく、主に「障害支援区分」によって決まります。なお、設問の前半部分にある「自立支援給付」とは、障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害・一定範囲の難病)にかかわらず全国共通の仕組みで、「地域生活支援事業」は、市町村の創意工夫により、障害のある方の状況に応じて柔軟に実施できる仕組みです。

記述通り:年齢による負担や支援のニーズを柔軟に考慮する仕組みとして、一定の年齢(例えば、50歳以上)になると、障害が進行しやすくなることなどを考慮し、低い支援区分でも「介護給付費」の対象とされる場合があります。

誤り:「訓練等給付費」は、障害者が自立した生活を送るための訓練や支援を行う費用で、就労訓練や生活訓練などが含まれます。この給付費の対象者は、障害支援区分だけでなく、個別の必要性や支援計画に基づいて決定されます。そのため、障害支援区分が低くても、訓練の必要性が認められる場合には給付が受けられることがあります。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html

誤り:「地域生活支援事業」における市町村必須事業には、理解促進研修・啓発事業、相談支援事業、成年後見制度利用支援事業などが含まれています。これらの事業は、障害者が地域で安心して暮らせるよう支援するものであり、市町村が必ず実施することが求められていますが、事業者に委託する事も出来ます。

イ-正答:②

記述通り:「精神保健福祉行政」とは、精神障害やメンタルヘルスの問題を持つ人々が地域社会で安心して生活できるように、支援やサービスを提供する行政の取り組みであり、「障害者就業・生活支援センター」は、障害のある人が地域社会で安定して働き、生活できるようにサポートを行う施設です。
【参考】e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000101

誤り:「福祉的就労」は一般就労とは異なり、「障害者雇用率制度」の対象とはなりません。そもそも「福祉的就労」とは、障害があり一般企業で働くことが難しい人が、就労支援を受けながら働ける福祉サービスです。働く場所には以下があります。
 ・就労継続支援A型:雇用契約を結び、賃金を受け取る
 ・就労継続支援B型事業所:雇用契約は結ばずに働き、工賃を受け取る
 ・地域活動支援センターⅢ型:軽作業などを行う
なお、「障害者雇用率制度」とは、従業員が一定数以上の規模の事業主において、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を、法定雇用率以上にするという制度です。

記述通り:全国のハローワークには「障害者就労支援チーム」があり、就労準備から職場定着まで一貫した支援を提供しています。
【参考】内閣府 https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r06hakusho/zenbun/h2_03_02_02.html

記述通り:「地域障害者職業センター」は職業に特化した専門的な訓練や評価を行う機関であるのに対し、「障害者就業・生活支援センター」は就労と生活の両面で支援を行い、就労支援ワーカーと生活支援ワーカーが協力して地域密着型の総合的なサポートを提供しています。
【参考】独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/

ウ-正答:①

(a)記述通りハートビル法(1994年施行)は、高齢者や身体障害者が利用しやすい建築物のバリアフリー化を目的とした法律です。交通バリアフリー法(2000年施行)は、高齢者や身体障害者が公共交通機関を利用しやすくするためのバリアフリー化を進める法律です。
そして、バリアフリー法(2006年施行)は、「ハートビル法」と「交通バリアフリー法」を統合・拡充し、すべての障害者に対応する総合的なバリアフリー環境の整備を目的とした法律です。

(b)記述通り:市町村は、バリアフリー化すべきエリアを自ら設定することができ、対象エリアは駅周辺の交通拠点に限定されません。旅客施設が含まれないエリアや生活関連施設が多い地域も対象とすることが可能です。これにより、より広範囲でのバリアフリー環境の整備が進められます。

(c)誤り:「バリアフリー法」には、基準に適合しなかった場合の罰則は設けられていません。あくまで責務や義務として明示されていますが、基準に違反した場合の罰則はなく、指導や助言、改善勧告などが行われることが一般的です。

(d)誤り:市町村は、バリアフリー化の効果を確認するために、市民や利用者などからなる協議会を設置することができます。この協議会はバリアフリー化後の事後検証を行い、改善点を話し合う役割を持ちます。
ただし、協議会には各施設に利用情報の提供を「求める権限」は付与されていません。協議会はあくまで検証や助言、改善提案を行う立場であり、強制力のある権限はありません。

(a)〇、(b)〇、(c)×、(d)×で、①の組合せが正解となります。

エ-正答:②

誤り:前半部分の手すり下地の記述は正しいですが、後半の車椅子の転回スペースについては、しかるべき場所や間隔で確保されるべきであり、全ての曲がり角に設ける必要はありません。
【参考】国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001392062.pdf

記述通り:バリアフリー設計の観点から、トイレは車椅子使用者やオストメイト、乳児連れの利用者など、多様なニーズに対応することが求められます。しかし、すべての機能を一つの便房に集約すると、かえってスペースが狭くなり、各利用者が快適に使うことが難しくなるため、適切ではありません。

誤り:車椅子使用者等が利用する駐車スペースは、出入り口からできるだけ近い場所に設けることがバリアフリーの基本です。出入り口から遠い場所に設置することは、移動の負担が増えるため不適切です。また、専用の出入り口を設ける必要はありません。むしろ、すべての利用者がアクセスしやすい共用の出入り口に近い場所に駐車スペースを設けることが、バリアフリーの基本方針です。

誤り:車椅子使用者用客席は、家族や友人と一緒に利用できるようペアで配置することは適切です。しかし、緊急時の安全性を考慮し、客席は一か所に集中させず、複数の場所に分散して配置することが推奨されます。