2023年の試験問題はコチラ。「禁無断転載」とありますので、問題文は載せられませんが、試験の解答と解説を行っていきます。
※この解説は、個人が作成したものであり、公式のものではありません。そのため、内容に誤りが含まれている場合があります。もし間違いを見つけた場合は、「お問い合わせ」フォームからご連絡ください。
第8問
ア-正答:④
①誤り:公営住宅では、1970年代から高齢者同居世帯向けの住宅も供給されてきましたが、必ずしも「家族との同居」が前提ではありません。むしろ、現在の公営住宅では、高齢者の単身入居や高齢者夫婦のみの入居も広く認められています。単身の高齢者や高齢者夫婦向けの住まいも多く供給されており、若年世帯との同居が前提とされているわけではありません。
②誤り:長寿社会対応住宅設計指針自体は高齢者向けの住環境づくりに参考になる基準であり、介護保険制度後も利用されていますが、すべての住宅がこの指針に基づいて設計される義務はなく、介護保険制度の基準としても直接は用いられていません。
【参考】国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/sisin01.htm
③誤り:介護保険による住宅改修補助は、要介護・要支援認定を受けた高齢者が対象で、予防的な改修には適用されません。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf
④記述通り:高齢者の多くが「住み慣れた場所で生活を続けたい」という希望を持っています。これに応えるために、シルバーハウジング・プロジェクトでは、高齢者が安心して住み続けられるように、見守りや生活相談を提供する人員(ライフサポートアドバイザー)が配置されており、日常生活の支援が行われています。
【参考】内閣府 https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h27hakusho/zenbun/pdf/s6_1_2_5.pdf
イ-正答:①
①誤り: サ高住は「住宅」として位置づけられており、高齢者が自立して生活できるよう、バリアフリー設計や安否確認、生活相談サービスが提供される賃貸住宅です。
「個室化・ユニットケア」を原則とするのは、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなど、要介護者が多く利用する介護施設の特徴です。これらの施設では、入居者一人ひとりにプライバシーのある個室と小規模な生活単位を提供し、より家庭的な環境を目指しています。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kaigi/010928/siryo5-1.html
②記述通り:認知症高齢者グループホームは、認知症の高齢者が少人数で共同生活を営む「グループリビング」の形式で提供される居住施設です。一般的に1ユニット5〜9人程度の少人数単位で、家庭的な環境の中で生活支援やケアを受けられるように設計されています。この施設では、個室と共同生活の空間が併設され、家庭に近い環境での日常生活が送れるよう配慮されています。
【参考】厚生労働省 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/care_services_guide/care_services_guide_service07.html
③記述通り:高齢者介護施設が大規模になると、地域の日常生活から離れた環境になり、地域との一体感が失われやすいという課題があります。
「サテライト型特養」は、特別養護老人ホーム(特養)が施設の敷地外に小規模な介護単位を設置し、地域内でケアサービスを提供する形式です。これにより、利用者は施設にいながらも地域社会の中で生活を送りやすくなり、地域に根ざしたケアが可能になります。この取り組みは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう支援するものです。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000022744.pdf
④記述通り:近年、福祉施設を新たに建設するのではなく、既存の建物を活用して改修し、福祉施設として利用する手法が増えています。これにより、新設にかかるコストを抑え、短期間で必要な福祉施設を整備できる利点があります。
ウ-正答:②
(a)誤り:地域によっては、人口減少と高齢者人口の減少により、要介護者向け施設が供給過多になっているエリアもあります。しかし、都市部や地方の一部地域では逆に介護施設の需要が高く、地域差が存在しています。特に都市部では需要が集中しているため、供給が追いついていない場合もあります。
(b)誤り:サービス付き高齢者向け住宅は厚生労働省と国土交通省の共管ですが、セーフティネット住宅(住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅 )は国土交通省の所管になります。
(c)記述通り:老人福祉法によると「この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする」となっています。
【参考】e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133/20200401_430AC0000000044
(d)記述通り:養護老人ホームは、養老施設の仕組みを引き継ぎ、経済的や環境的な理由で自宅生活が困難な高齢者が対象で、日常生活の支援を受けながら生活できる施設です。特別養護老人ホームは、要介護高齢者が入所し、介護が必要な人々を支援する施設として位置づけられています。軽費老人ホームは、経済的に負担を軽減しつつ、高齢者が自立して生活できるよう支援する施設です。
(a)×、(b)×、(c)〇、(d)〇で、②の組合せが正解となります。
エ-正答:③
(a)記述通り:介護老人保健施設は、在宅復帰を目指すリハビリを主な目的としており、一定の医療ケアを提供します。介護療養病床(現在は廃止が進み介護医療院に移行)は、慢性期医療を必要とする高齢者が対象です。介護医療院は、医療と生活の両方を提供する施設ですが、特に医療ケアの側面が強調されます。
これらの施設は、医療的ケアを必要とする高齢者を対象としており、医療的な色合いが強い施設です。
特別養護老人ホームは、生活の場としての性格が強い施設です。日常生活全般にわたる介護(入浴、排せつ、食事、着替え)を提供し、利用者が可能な限り自立した生活を送れるよう支援します。機能訓練や療養上の世話も提供されますが、医療的ケアが主体ではありません。
(b)誤り:養護老人ホームは、介護が必要な高齢者を対象とした施設ではありません。寝たきりや重度認知症の高齢者は、特別養護老人ホームなど、介護を提供する施設が適しています。養護老人ホームの主な目的は、経済的・環境的な理由で自宅生活が困難な高齢者に生活の場を提供することです。
(c)記述通り:軽費老人ホームには以下の種類があります。
・A型: 食事提供など、日常生活上の便宜が供与される。
・B型: 自炊を原則とする形式。
・ケアハウス: 身体的、環境的に弱い高齢者向けで、必要に応じて介護サービスが受けられる。
軽費老人ホームA型・B型は、今後新設されず、老朽化後はケアハウスへ転換されることが決定しています。軽費老人ホームは高齢者の安心した暮らしを支える施設ですが、ケアハウス誕生により制度が複雑化したため、一元化が進められています。現在のA型・B型施設は存続していますが、建て替え時にはケアハウスへ移行する予定です。
【参考】内閣府 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/iryou/20170315/170315iryou01.pdf
(d)誤り:有料老人ホームの事業主体は「地方公共団体、医療法人、社会福祉法人」に限らず、民間企業も含まれます。実際、多くの有料老人ホームは、民間企業によって運営されています。
(a)〇、(b)×、(c)〇、(d)×で、③の組合せが正解となります。