福祉住環境コーディネーター1級 2023年【前半】試験_第4問

2023年

2023年の試験問題はコチラ。「禁無断転載」とありますので、問題文は載せられませんが、試験の解答と解説を行っていきます。

※この解説は、個人が作成したものであり、公式のものではありません。そのため、内容に誤りが含まれている場合があります。もし間違いを見つけた場合は、「お問い合わせ」フォームからご連絡ください。

第4問

ア-正答:②

(a)誤り:Friedらの定義(CHS基準)では、
 1. 体重減少
 2. 疲労感
 3. 活動量低下
 4. 緩慢さ(歩行速度低下)
 5. 虚弱(握力低下)
の5項目を診断基準として、3つ以上当てはまる場合をフレイルと診断します。
設問の「口腔機能の低下」は、CHS基準には含まれません。
ただし、広義のフレイルには、歯や口の衰えから起きる「オーラルフレイル」も含まれます。
【参考】公益財団法人長寿科学振興財団 https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-4-2-4.html

(b)誤り:「サルコペニア」は筋肉量の減少および筋力低下を指し、加齢に伴う筋肉の減少に焦点を当てた用語です。
設問にある、骨や関節などの運動器が衰え、日常生活の「立つ」「歩く」などの機能が低下している状態は「ロコモティブシンドローム」です。

(c)記述通り:アルブミンは、血液中で最も多いタンパク質の一つであり、血中のアルブミン濃度は、栄養状態や健康状態の指標として広く用いられています。

(d)記述通り:設問の「必要不可欠」という強いワードが気になりますが、(a)~(c)の正誤から、②が正答となり、必然的に〇になる思われます。

(a)×、(b)×、(c)〇、(d)〇で、②の組合せが正解となります。

イ-正答:①

記述通り
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/nop1-2_3.pdf

誤りBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)は認知症の行動・心理症状を指し、軽度認知障害のことではありません。軽度認知障害は、MCI(Mild Cognitive Impairment)です。
なお、設問にある「前駆状態」とは、ある病気が現れる前に前触れとして現れる症状のことです。

誤り:厚生労働省と他11省庁(内閣官房、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)が関与して策定されたのは、2015年の「オレンジプラン」の方です。

誤り:設問の後半に出てくる「結晶性知能」とは、学びや経験を積むことによって蓄積されていく知識やスキルを基にした認知能力のことで、年齢が進んでも比較的維持される傾向にあり、むしろ加齢と共に増加することが多いとされています。

ウ-正答:②

(a)記述通り:2003年4月に「支援費制度」が導入され、従来の措置制度から、障害者が自己決定に基づいてサービスを利用できる仕組みに転換されました。
しかし、利用者数の増加や財源不足、障害種別・地域間格差などの課題が発生しました。これを受け、2005年に「障害者自立支援法」が制定され、サービス体系の一元化や「障害支援区分」の導入、国の財政負担や利用者負担の仕組みが整備されました。2010年の改正で利用者負担は応能負担に見直され、2013年には「障害者総合支援法」に改称され、難病等も支援対象に追加されました。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/05/s0526-4e.html
※見直しが繰り返されているこのような制度について、経過年の状況を問う設問は、試験問題としてどうかと思いますが、残念ながらこういった出題が時々あります。

(b)誤り:「障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」から、「障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」という社会モデルの考え方を踏まえ、障害者の定義が見直されました。
【参考】内閣府 https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/zenbun/honbun/honpen/h1_1_2.html

(c)誤り:「障害者虐待防止法」は、障害者の権利を守るために、虐待防止と養護者への支援を目的として2012年から施行されました。この法律により、虐待を発見した場合は速やかに市町村や都道府県に通報する義務があります。
【参考】厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kpq2.html

(d)記述通り
【参考】e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC0000000050

(a)〇、(b)×、(c)×、(d)〇で、②の組合せが正解となります

エ-正答:②

記述通り:2006年施行の「障害者自立支援法」は、障害者が地域で自立して暮らせるよう、支援を一元化しましたが、以下の問題が指摘されました。
 ・応益負担により、サービス利用が多い人ほど負担が重く、経済的に厳しい人に不利だった。
 ・障害程度区分が実態に合わず、適切なサービス提供が難しかった。
 ・地域や障害種別による支援の格差があった。
 ・財源不足による制度運営の不安があった。
これらを受け、2012年に「障害者総合支援法」に改正され、利用者負担が「応能負担」に変更されるなどの改善が行われました。

誤り:「障害程度区分」を改め、新たに「障害支援区分」が創設されましたが、設問の記述のような「障害者の範囲から難病患者を外した」という事はありません。
【参考】難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/5702

記述通り:補装具はこれまで「購入」に対してのみ補助金が支給されていましたが、改正により以下の条件で「貸与」も可能になりました。貸与対象は、義肢、装具、座位保持装置、意思伝達装置、歩行器、座位保持椅子などで、専門機関の判断で必要と認められた場合に支給されます。

④記述通り:直近では、2024年4月1日から障害福祉サービス等の対象となる難病が、366疾病から369疾病へと見直しが行われました。
【参考】e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019/20240401_506M60000102010